特殊なルーバーデザインのフロートテレビボードが完成するまで

家具の中でもっとも難しいのがルーバーデザインです。
その理由は、
ルーバー自体を作るのが難しいということではなく
反らないようにすることが難しいということです。

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家具の中でももっとも難しいのがルーバーデザインです

家具の中でももっとも難しいのがルーバーデザインです。

これ意外だと思いませんか?

R型の家具や凝った形の家具を作るよりも
扉をルーバーにすることの方が難しいのです。

なぜ難しいのかと言いますと、
エアコンや蓄熱暖房機を囲う家具にした場合
ルーバーが反る可能性があるからです。

つまりルーバー自体を作るのが難しいということではなく
反らないようにすることが難しいということです。

ですから反りを避けるために
ルーバーの凹凸を抑えたデザインにするという方法もあるのですが、
そこは好みが分かれるところでもあります。

「反らないルーバーの扉は作れない」

ですから、綺麗なデザインにすると反る可能性を否定できないし、
反らない形にすると物足りなくなるというジレンマに襲われてしまうのです。

この度のご依頼は、
まさしくルーバーデザインのテレビボードが希望ということでしたが
通気を良くするためにルーバーにしたいということではないということでしたので
ルーバーの裏に強化ガラスをはめ込む形にして反りを抑えられる形にすることができました。

どうして反らないとはっきり言えないのかというところですが

製作する工場からも

「反らないルーバーの扉は作れない」と言われているからです。

正しくは、

「反らないように万全の注意をしてもなぜか反るものは反るし、
反らないものは反らない」

と言われました。

それを聞いて、

自分の長い経験からも「やっぱりそうだよね」と言うしかありませんでした。

ですから最終的にはお客様にもそれを納得していただいたうえで
製作する運びとなりました。

メラミンでルーバーを作るのは至難の業

ルーバーは通常、
無垢材を加工して組み上げるもので
それほど難しいものではありませんが、

それをメラミン貼りにするのはとても至難です。

そもそも
ルーバーなのになぜメラミンを使うのかということですが

劣化や傷を抑えることを重視したからです。

ご存知のように

フロートテレビボードは置き家具と違って
壁に固定するものなので

傷が付いたからと簡単に取り替えることができないからです。

反らないテレビボードが絶対条件

お客様からは

「テレビは重いもので70kg以上(85インチ)も重量があります。

数十年、天板に重量がかかっても簡単には反らないものを希望します」

と言われていましたが

これに関しては2004年にフロートテレビボードを開発した当初から
「絶対落ちない」そして「絶対反らない」構造にしていたので
問題はありませんでした。

(もちろん100%とは言えませんが経験値からは大丈夫だと言えます)

※これは責任者立会のもとでの実験ですので
決してテレビボードに座ったりしないでください。(扉が破損する恐れがあります)

両者納得の上で製作開始

3ヶ月で家が建ってしまう時代にあって

この度のテレビボードの打ち合わせに要した時間、期間は

約10ヶ月にも及びました。

それほど

家のインテリアにこだわりを持っているお客様に対し

こちらもそのご期待を裏切らないように、
製品の安全シートも提出し、工場との打ち合わせ頻度も高くしました。

ですからこのプロジェクトにかかった時間の比率は

打ち合わせが8割、製作が2割というものでした。

完成写真はお客様からいただきました

フロートテレビボードは
配送手配したあとはこちらの手から離れてしまいますので

その後の状態を知ることができません。

ですから

お客様から完成写真をいただかなければ
このように紹介することはできません。

今回は

お客様からのご好意で紹介することができましたので
この場を借りて御礼申し上げます。

E様、

本当にご協力いただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

【フロートテレビボード開発者】
2004年にフロートテレビボードを開発した家具デザイナー
従来のテレビボードの欠点を解消するために、テレビボードを浮かせて配線を収納する構造を考案
ハウスメーカーや設計事務所などから多くのオーダー家具の依頼を受けている
住宅の設計担当者やインテリアコーディネーターの講師も務めている

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