フロートテレビボードの最大のデメリット。見逃してはいけない3つの盲点

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フロートテレビボードの盲点1:安全性

2004年にフロートテレビボードを開発した当時から
問題となる点ははっきりと見えていました。

それは

一に耐荷重です。

それも人が腰掛かけたら落ちるというものでは決していけないということです。

「決して座ったりしないでくださいね」といってもダメだからです。

その理由は
お子さんです。

お子さんでなくても
興味本位で腰をかける人はいるものです。

責任者立会の元での実験です。決してテレビボードの上には座らないでください。 (扉が破損する恐れがあります)

これは重大な怪我に繋がる可能性があるので
注意喚起したのだから当社には問題がないと言い逃れができるものではありません。

実際起きた事例は少ないのですが

小さなお子さんがテレビボードの扉を開けて
扉の上によじ登って扉のガラスが破損したことがありました。

それ以来扉を支える金物を丈夫なものにし
扉のガラスも強化ガラスか破損防止フィルム貼りにしています。

ですから
人がもし腰をかけたとしても歪まないコア構造にし、
耐荷重も最低100kg以上(実験では200kg以上)にする必要性があるのです。

そしてテレビボードを浮かすときに盲点と言える注意点があります。

それはキャビネットの背面だけが壁に固定できれば良いと思うことです。

テレビボードの奥行に対しても支えられる金物が必要なのです。

例えばシステムキッチンの吊戸棚の場合は
皿類は奥から入れていくものですが

テレビボードに入れる機器類はリモコンの受光を考えて
手前のほうに収めるものだからです。

ですから
手前まで支える工夫が必要なのです。

そのことから考えると
テレビボード全体を支える金物(ブラケット)は
最低でも3箇所必要です。

3箇所というのは扉が二枚というテレビボードですので
標準は扉は3枚構造ですので4箇所ということになります。

そして造作家具の構造については

「三三方式(さんさん方式)」と呼ばれる公式みたいなものがあります。
(※一部の家具職人の間で語られた言葉なのでどこまで根拠があるものなのかは不明です)

例を上げると

板と板をビス止めするには
板の厚さの3倍の長さが必要だというものです。

そしてそれを
テレビボードを支えるブラケットに応用すると

奥行に対して最低でも三分の二の長さが必要だという目安になるということです。

この「三三方式(さんさん方式)」というのは
あらゆる木工で頷けるものです。

なぜなら尺貫法がそうだからです。

すべて3に集約されていますよね。

そして昔の家具職人は
定規を使ってものづくりをしてきました。

つまり
910mm(三尺)×1820mm(六尺)の建材を基準にしたら
定規の寸法も3の倍数となるわけです。

余談でしたが

家具の構造の基礎となる部分には
この三三方式(さんさん方式)がいまでも深く関わっていると言えると思います。

フロートテレビボードの盲点2:耐久性

フロートテレビボードは壁に固定するものになりますので

耐久性が求められます。

家具の仕上げについてですが

公式のフロートテレビボードは

標準でメラミン化粧板仕上げとしています。

ただ、

メラミンよりも
天然の木材ベニヤのほうが高級感があるし、
家は木材なんだからという意見も多いのですが

実はメラミンの加工のほうが天然の木材ベニヤを扱うよりも
数段難しいということはあまり知られていません。

そして今では、
資源保護という観点で
美術館やホテルの家具に至るまでメラミンが普及しています。

そして質感もプロが見ても天然の木材かと見まごうほどです。

ついでに言うと
確かに木材ベニヤ(業界では練り付けベニヤと言います)は文句なしに仕上がりは綺麗です。

でも耐久性に難があります。
そして日光による日焼けもします。
そしてなによりも傷に弱いのです。

その劣化も愛おしいと思えるのなら問題はありませんが
いつまでも綺麗なままを望む人も多いのです。

ちなみに
練り付けベニヤとは
木材(単板)を0.2mmほど薄くスライスしたものを2.5mmから4mmの下地ベニヤに貼ったものです。

それに塗装を施して仕上げるのですが
0.2mmだと木目も立たないわけです。

ですから
そのときは単板を0.4mmにしてもらったりします。

さらに
塗装は厚さやツヤ、木目を出す出さない、カラーを被せるかなどがあり、
それは樹種によってもまちまちです。

ですから最後は、

プロデュースする側の感性に委ねられることになります。

そのような理由から

耐久性が何よりも大切なので

標準でメラミン化粧板仕上げとしています。

フロートテレビボードの盲点3:通気の問題

最大のデメリットは熱が溜まること(解決しました)

フロートテレビボードはシンプルさが特徴ということもあり
キャビネットの高さは250mmとしています。

薄いものですと170mm以下にした例もあります。

ですから見た人には浮いて見えるはずです。

そして「落ちてしまんじゃないの?」
と驚かせようとしたことも事実です。

ですが、

構造に仕掛けをしているので
耐荷重は100kg以上もあります。

(その後の耐荷重実験では200kg以上を達成しています。)

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そこまでは良かったのですが

内部に入れる機器(レコーダー)の種類によっては

「放熱できるような場所に設置すること」

と注意書きがあるものがあり、

キャビネットの底の通気孔だけでは
熱を放出できないということが判明しました。

ですが

その解消法をお客様が発見してくれて
解消できるようになったのです。

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それからは

排熱のための空気孔をカウンターに開けたり

扉からも放熱できるように

スリット加工(ルーバー)も付けれるようにしています。

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この記事を書いた人

【フロートテレビボード開発者】
2004年にフロートテレビボードを開発した家具デザイナー
従来のテレビボードの欠点を解消するために、テレビボードを浮かせて配線を収納する構造を考案
ハウスメーカーや設計事務所などから多くのオーダー家具の依頼を受けている
住宅の設計担当者やインテリアコーディネーターの講師も務めている

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