おしゃれなテレビボードを追求して生まれたフロートテレビボード

 

モデルハウスなどでテレビボードを見たときに立派だとは思ってもおしゃれだと感じたことがあまりありませんでした。 その理由はインテリアに溶け込んでいるという印象よりも個性が強いために場所を占領していると感じられたからです。大きければなおさらです。 さらにどうにかしてほしいと客観的に思っていたのは配線です。テレビボードにはレコーダーやLANも必要になるので 結果配線コードだらけになりほこりまみれの場所となるからです。 正面から見て立派でも横から見ると配線だまりとホコリが見えたのではせっかくのインテリアも台無しです。 ではその問題を解消するにはどうしたら良いかと考えたときに、単純に「そうか、床から浮かせればいいんだ」と思ったのです。

 

 

 

 

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浮かせると考えたものの

さて、どうすれば・・・とそれから長いあいだ考え続けることになりました。
テレビボードを浮かせ、さらに重さにも耐えられるという条件です。配線についてはテレビボードの内部にすることで簡単に解消できるのですが、施工をしやすくする構造にしなければなりません。

そこでテレビボードの構造から考え始めました。考え始めるというよりもそのような例を探したのです。
ところがいくら探しても浮かせることを前提とする家具なんてあるはずもなく家具の構造としてもフラッシュ構造体では無理があるので一から構造を考えることにしました。

 

 

天板の強度

テレビボードは壁掛けスタイルが多くなったとは言え一般的にはテレビボードの上に載せますので天板が歪むようでは問題がありますのでフラッシュ構造とする場合は最低限ハニカムコアなどを必ず入れなければなりません。

 

 

底板の強度こそ大切

浮かせるテレビボードというのは床置きと違い底板も強度のある構造にする必要があります。レコーダーなどの機器類を入れたら底が歪んだということがあってはならないからです。という意味からフラッシュ構造と考えるよりもランバーコアを下地としたものにする必要がありました。

 

 

 

 

フロート式のヒントをついに見つけた

ここからは肝心な内容になり、伏せておきたいところですが、オーダー家具の素晴らしさを伝えたいという思いもありますのであえて公開します。

家具を浮かせるには何が必要だと考えたとき誰もが金物を使うことを思いつきますが、はたして強度はだいじょうぶなのだろうかと悩むことになります。

そこで重い家具を金物で支えている例は無いものかと探すのですが家具というキーワードで探しても見つからないので他で似たようなものはと考えたときにあるものが頭の中に浮かんだのです。

それは洗面化粧台でした。洗面化粧台といってもキャビネットが付いているものではなく施設とか店舗、ホテルなどで見かけるカウンタータイプの化粧台です。

人造大理石や大理石に重い洗面器まで付いている洗面カウンターを支えるしくみはどうなっているのかと言うとなんとブラケットだけで支えているのです。そこで公開されている図面資料を見るとその金物の強度をうかがわせる詳細までも書かれていました。こんなブラケットであんな重い洗面カウンターを支えられるとは自分の想像を超えていました。

 

 

 

 

洗面カウンターの仕組みを家具に取り入れた

話は変わりますが、もう一つ金物で重いものを支えるものがありました。それは階段です。その階段といっても片側だけで支えているというものです。そこにはもちろん金物が使われていますが詳細はオープンとなっていません。そこで鉄骨の強度は鉄骨を扱う会社に聞けば良いということになり、洗面カウンターのブラケット(金物)の図面を持ちながらテレビボードを支える金物を開発したいと思っているので協力してほしいと相談に行きました。

その鉄工場はスチール階段をはじめテナントなど大型の物件もこなして実績もじゅうぶんあったためアドバイスは的確で信用のおけるものでしたのでこれでようやくフロートタイプのテレビボードの現実化にむけて一歩を踏み出すことができたのです。

 

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造作家具の知恵(サンサン方式)

造作家具を作るときの心得の一つに3.3方式(サンサン方式)というものがあります。これは何を指すかと言うと、板を板を90度に止めるビスの長さはどのくらい必要かと言うと板の厚さの3倍の長さが必要になるということや、板を支えるには板の幅の3/2があればじゅうぶんなど何かにつけて3が基準になるということです。

そもそも日本の建物は尺貫法に則っていますから使う材料もすべて3の倍数となっているところからもこのサンサン方式には頷けるのです。
ですからテレビボードのブラケットの長さも奥行寸法の2/3としています。

 

 

金物の使い方一つで家具のデザインはシンプルになる

金物は強度不足を補う一方構造の省略化にも応用できます。つまり家具を必ず箱組とする必要がなくなるということです。

棚でさえ、板一枚で済むということでどんどんスマートな家具を開発できるようになってきます。

 

 

 

究極のフロート式のアイランドキッチン

フロートタイプのテレビボードの開発に飽き足らず、ついにフロートタイプのアイランドキッチンまで開発してしまいました。
ただし完全に浮いているという形ではなく一本足だけはさすがに付ける必要がありました。こちらについてはまた別の機会に触れてみたいと考えています。

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

【フロートテレビボード開発者】
2004年にフロートテレビボードを開発した家具デザイナー
従来のテレビボードの欠点を解消するために、テレビボードを浮かせて配線を収納する構造を考案
ハウスメーカーや設計事務所などから多くのオーダー家具の依頼を受けている
住宅の設計担当者やインテリアコーディネーターの講師も務めている

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